ウォーキングブリーチは、神経を取り除いた歯を内側から白くする特殊なホワイトニング方法です。神経を失った歯は時間の経過とともに黒ずんだり茶色く変色したりすることがあり、通常のホワイトニングでは十分な効果が得られません。この治療法では、歯の内部に漂白剤を封入し、数日間かけてじっくりと色素を分解していきます。
神経のない歯が変色する原因には、根管治療時に使用した薬剤の影響や、歯の内部組織の壊死によるものなどがあります。特に前歯が変色すると審美的な問題が大きく、笑顔に自信が持てなくなる方も少なくありません。ウォーキングブリーチは、こうした悩みを解決する有効な治療法として多くの患者様に選ばれています。
治療名の由来は、薬剤を歯の中に入れたまま日常生活を送る、つまり「歩きながら」漂白が進むことから名付けられました。通院回数を抑えながら効果的に歯を白くできるため、忙しい方にも適した方法といえます。

他のホワイトニング方法との違い
| 比較項目 | 一般的なホワイトニング(オフィス/ホーム) | ウォーキングブリーチ |
|---|---|---|
| 対象となる歯 | 神経のある健康な歯 | 神経を除去した失活歯 |
| 漂白の作用場所 | 歯の表面(外側) | 歯の内部(内側) |
| 施術方法 | 自宅または歯科医院での表面処置 | 歯科医院での内部処置(専門技術が必要) |
| 即効性 | オフィス:即日〜数日/ホーム:2〜4週間 | 数回の処置で徐々に改善 |
| 効果の持続性 | 3ヶ月〜1年程度(方法により異なる) | 比較的長持ち |
| 特徴 | 表面の着色に対応/生活習慣による変色に有効 | 失活歯特有の深い変色に対応/内部から漂白 |
| 安全性と管理 | セルフケア可能(ホーム)/歯科管理あり(オフィス) | 歯科医師による管理が必須 |
ウォーキングブリーチ施術の流れ

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STEP01
初診・カウンセリング
- お口全体の状態を確認し、レントゲン撮影を行います
- 根管治療の状態や根の先の病変の有無をチェック
- 必要に応じて根管の再治療を優先
- 現在の歯の色を記録し、目指す白さを相談
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STEP02
施術準備
- 歯の裏側から小さな穴を開け、以前の詰め物を除去
- 根管内を清掃し、薬剤が漏れないよう封鎖処置 → この工程が安全性確保の鍵となります
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STEP03
漂白剤の注入と仮封
- 歯の内部に漂白剤を注入
- 仮の蓋で密閉し、薬剤を1〜2週間作用させます
- 期間中は通常の生活OKですが、硬いものを噛むのは控えてください
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STEP04
経過確認と薬剤交換
- 所定期間後に再来院し、歯の色をチェック
- 白さが足りない場合は薬剤を交換して再処置
- この工程を数回繰り返し、理想の色調へ近づけます
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STEP05
最終修復
- 漂白完了後、歯の裏側の穴を適切な材料で修復
- 見た目と機能の両面から自然な仕上がりを目指します
リスク・副作用について
歯根吸収の可能性
過度な漂白や不適切な薬剤の使用により、歯の根が溶けてしまう「歯根吸収」が起こることがあります。当院では、薬剤の濃度管理と定期的なチェックにより、リスクを最小限に抑えています。
薬剤の漏出による炎症
薬剤が根の先から漏れ出すと、骨や歯茎に炎症を引き起こす可能性があります。そのため、根管治療が完全に終了し、封鎖が適切に行われていることが治療の前提条件です。
歯の強度低下
神経を失った歯はもともと脆くなりやすく、漂白剤の影響でさらに割れやすくなることがあります。治療後は、硬いものを前歯で噛む行為は控えることをおすすめします。
色調の個人差
変色の原因や歯の状態によって、希望通りの白さにならない場合があります。特に金属由来の変色や古い薬剤による変色には、効果が限定的なことがあります。
再変色の可能性
治療後も、時間の経過とともに色が戻ることがあります。その場合は、再度の漂白処置を検討することになります。
安全性への配慮
当院では、事前の診査を十分に行い、患者様にとって適切な治療かどうかを慎重に判断しております。ご不安な点がございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。
ウォーキングブリーチの効果と持続期間
効果の現れ方と適応範囲
軽度〜中等度の変色に効果的
根管治療後の自然な変色や、外傷による変色には特に有効です。数回の処置で、周囲の天然歯と調和する自然な白さが期待できます。
強い変色には限界も
金属製の土台や古い薬剤による変色は、完全な漂白が難しい場合があります。このようなケースでは、セラミッククラウンなどの補綴治療を併用することもあります。
効果の持続期間
一般的な目安:3〜5年程度
歯の状態や生活習慣によって異なりますが、数年間きれいな状態を保てる方が多いです。
再変色の可能性あり
時間の経過とともに徐々に色が戻ることもあります。
その場合は、再度のウォーキングブリーチで白さを回復することが可能です。
再処置は短期間で効果が出やすい
初回よりも短い期間で色調が改善することもあり、定期的なメンテナンスとして継続される方もいらっしゃいます。
当院の取り組み
当院では、治療の成功のために以下を徹底しています。
- 丁寧な診査とカウンセリング
- 変色の原因や歯の状態を的確に評価
- 患者様に合わせた最適な治療計画のご提案
効果を持続させるための日常的な注意点
色の濃い飲食物に注意
コーヒー・紅茶・赤ワイン・カレーなどは着色の原因になります。摂取後はすぐに口をすすぐか歯磨きをすることで、着色を防ぎましょう。特に治療直後は着色しやすい状態なので、意識的なケアが大切です。
喫煙は変色の原因に
タールやニコチンが歯の表面に付着し、再び黄ばむ原因となります。禁煙が理想ですが、難しい場合は本数を減らすだけでも効果的です。
毎日の歯磨き習慣
適切なブラッシングで汚れを落とし、着色を防ぎます。研磨剤の多い歯磨き粉を強く使うと、歯の表面を傷つける可能性があるため、力加減に注意し、やさしく磨くことがポイントです。
歯への負担を減らす
神経を失った歯は割れやすくなる傾向があります。硬いものを噛むときは奥歯を使うようにし、前歯への負担を軽減しましょう。 スポーツをされる方は、マウスガードの使用もおすすめです。
定期的な歯科受診
歯の状態を定期的にチェックすることで、早期の変色兆候を発見できます。簡単な処置で対応できることもあるため、定期検診は白さ維持の鍵です。当院では、患者様の状態に合わせて最適な検診間隔をご提案しています。
ご相談はお気軽に
ウォーキングブリーチについてのご質問・ご相談は、いつでも当院まで。患者様の笑顔がより輝くよう、丁寧な治療とサポートを心がけております。





